ArchiveBox — ウェブページをHTML・PDF・動画ごとローカル保存できるセルフホスト型アーカイバ
bash ファイル名.sh を実行してください(中身を一度確認してから実行すると安心です)。
(macOS / Linux 環境が必要) ArchiveBox — ウェブページをHTML・PDF・動画ごとローカル保存できるセルフホスト型アーカイバ
ひとことでいうと
ArchiveBox(アーカイブボックス)は、指定したウェブページを HTML・PDF・PNG・動画など複数の形式でまるごとパソコンに保存できる、オープンソースのツールです。ブックマークや RSS フィード(ウェブサイトの更新情報をまとめた仕組み)を定期的に取り込んで自動保存することもできます。「あのページ、いつの間にか消えていた」という経験がある方にとって、心強い味方になります。コマンド操作・ブラウザ画面・プログラムからの呼び出しなど複数の使い方に対応しており、個人の趣味から組織の業務利用まで幅広く活用できます。
こんな人におすすめ
ArchiveBox は次の3つのシーンで特に力を発揮します。
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記事や調査資料を後で読み返したいジャーナリスト・研究者の方: 引用したウェブページが削除・改ざんされても大丈夫なように、WARC(国際標準のウェブ保存形式)で証拠を手元に残せます。論文や報道記事の裏付け資料として、再現性の高い記録が作れます。
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法的な記録管理が必要な法務・コンプライアンス担当者: 特定時点のウェブコンテンツを日時付きで保存し、証拠として整理しておきたい組織に向いています。スナップショット(保存した時点のページの記録)は日付ごとのフォルダに自動整理されるため、証拠の管理がしやすい構造です。
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お気に入りの動画や音楽を消える前に手元に残したい方: YouTube や SoundCloud などの動画・音声を MP4・MP3 形式でダウンロードできます。字幕やサムネイル、メタデータ(タイトル・投稿日などの付随情報)もまとめて保存されます。
インストール・使い方
ArchiveBox を動かす方法は大きく2つあります。初心者の方には Docker Compose(ドッカー・コンポーズ) を使う方法がおすすめです。Docker とは、ソフトウェアをまとめて一つの箱(コンテナ)に入れて動かす仕組みで、環境の違いを気にせずインストールできます。
Docker Compose を使う方法(おすすめ)
Step 1: 作業用のフォルダを作り、設定ファイルをダウンロードします。
mkdir -p ~/archivebox/data && cd ~/archivebox
curl -fsSL 'https://docker-compose.archivebox.io' > docker-compose.yml
ターミナル(文字で命令を送る画面)にこの2行をコピー&ペーストして Enter を押すだけです。curl は指定した URL からファイルを取得するコマンドです。
Step 2: 初期設定を実行して、管理者アカウントを作成します。
docker compose run archivebox init
初回だけ実行します。データベースの準備と管理者ユーザーの登録がここで行われます。
Step 3: 保存したい URL を追加します。
docker compose run archivebox add 'https://example.com'
'https://example.com' の部分を保存したいページの URL に置き換えてください。コマンドを実行すると、HTML・PDF・スクリーンショットなど複数の形式で自動的に保存が始まります。
Step 4: ブラウザで操作できる管理画面を起動します。
docker compose up
起動後、ブラウザで http://web.archivebox.localhost:8000 にアクセスすると、保存済みのページ一覧や各種設定を画面から確認・操作できます。
pip を使う方法(Python が入っている方向け)
Python(プログラミング言語の一つ)のパッケージ管理ツール pip でもインストールできます。Python 3.13 以上が必要です。
pip3 install --upgrade archivebox
mkdir -p ~/archivebox/data && cd ~/archivebox/data
archivebox init
archivebox install # Chrome・wget・yt-dlp など必要なツールを自動インストール
archivebox add 'https://example.com'
archivebox server 0.0.0.0:8000
archivebox install は、保存に必要な外部ツール(ブラウザや動画ダウンローダーなど)をまとめて自動インストールしてくれる便利なコマンドです。
動かしてみた
実際に ArchiveBox を試す前に、動作環境として押さえておくと安心なポイントをまとめます。
動作環境の目安(公式 README より):
- Python: 3.13 以上 / Node.js(JavaScript の実行環境): v22 以上
- 対応 OS: Linux・BSD・macOS・Windows(Windows は Docker 経由での利用)
- 対応 CPU: amd64(一般的な PC)、arm64、arm7(Raspberry Pi 3 以上)
ストレージ(保存容量)の目安:
1,000 ページ保存するごとに、動画なしで約 1GB、動画ありで最大 50GB 前後が必要になります。動画保存が不要な場合は設定で YTDLP_ENABLED=False と指定すると、ディスク使用量を大幅に節約できます。
ファイルシステムについての注意:
保存先フォルダ(data/archive/)には大量のファイルが作成されます。古い形式のファイルシステム(EXT3・FAT など)は非推奨です。また、データベースファイル(data/index.sqlite3)は SSD(高速ストレージ)に置くことが推奨されており、NFS(ネットワーク経由の共有ストレージ)への配置は避けるとよいとされています。Docker Compose を使う場合はこれらの依存関係をあまり意識しなくてよいため、手軽に試したい方には Docker 経由の利用がとくにおすすめです。
ブラウザで試す(デモ)
ArchiveBox の公式デモページでは、URL を入力するだけで実行コマンドと保存されるファイル一覧をその場で確認できます。Docker Compose・Docker・pip の3方式に対応しており、クロール深度(リンク先をどこまでたどるか)も変更しながら試せます。実際のアーカイブ処理は行われないため、安心してコマンドの動きを学べます。
はじめの一歩 — 実践コマンドのコツ
すぐに使えるコマンドと、知っておくと便利なポイントをまとめます。以下のコマンドはそのままコピー&ペーストして使えます。
# ニュースサイトをリンク先1段階まで保存
docker compose run archivebox add --depth=1 'https://news.ycombinator.com'
# テキストファイルから URL を一括インポート
cat urls.txt | docker compose run -T archivebox add
# RSS フィードを毎日自動取得
docker compose run archivebox schedule --every=day --depth=1 'https://example.com/feed.xml'
# スナップショット一覧を HTML でエクスポート
docker compose run -T archivebox list --html --with-headers > index.html
# 公開設定を変更(ログインしていない人にも閲覧を許可)
docker compose run archivebox config --set PUBLIC_INDEX=True
--depth=1を付けると、指定ページからリンクされているページも1段階まで自動保存されます。保存量が増えることがあるため、最初は--depth=0(指定URLのみ)で試すと安心です。- URL をまとめたテキストファイル(
urls.txt)を用意しておくと、一括インポートがスムーズです。1行に1URLの形式で書いておくだけで使えます。 - スケジュール機能(
schedule)を使えば、RSS フィードの定期巡回をコマンド1行で設定できます。「毎日自動で最新記事を保存する」という運用が簡単に実現します。 PUBLIC_INDEX=Trueにすると、アーカイブの一覧ページを外部に公開できます。社内共有や個人サイトとして活用するときに便利な設定です。
活用アイデア
ArchiveBox の柔軟な連携機能を活かした具体的な使い方を紹介します。
- ブラウザ拡張機能との連携: 公式の ArchiveBox Browser Extension(Chrome・Chromium・Firefox 対応)を使うと、ブラウジング中にボタン一つでアーカイブに追加できます。いちいちコマンドを打たなくてよいため、日常的な保存作業に向いています。
- Pocket・Pinboard などの既存ブックマークの移行: サービスからエクスポートした HTML ファイルを
archivebox addに渡すだけで、これまで集めたブックマークをまとめて保存できます。乗り換えや整理の際に役立ちます。 - クラウドストレージとの連携:
data/archive/フォルダを S3・Google Drive・NFS などにマウントすることで、大規模なコレクションをチームで共有・管理できます。 - ログイン済みページの保存:
CHROME_USER_DATA_DIR(Chrome のユーザーデータフォルダのパス)やCOOKIES_FILE(ログイン情報を保存したファイル)を設定すれば、会員制サイトなどログインが必要なページも保存対象にできます。公式のセキュリティ注意事項をよく確認してから使用してください。 - 個人の「デジタルアーカイブ」構築: 趣味のブログ・同人サイト・ニュース記事など、消えてしまいそうなページを定期スケジュールで自動保存し、自分だけの「ウェブの図書館」を育てられます。
- 組織内の情報保全: 社内ポータルや外部のプレスリリース・官公庁サイトなどを定期取得し、コンプライアンス対応や情報管理の基盤として活用できます。
用語とポイント解説
WARC(ワーク)
Web ARChive の略で、ウェブページの内容を HTTP 通信ごとまとめて保存する国際標準のファイル形式です。かんたんに言うと「ページ全体をそのまま封筒に入れて保存する形式」です。裁判や論文審査など、正確な記録が求められる場面で広く活用されています。ArchiveBox では、保存時に自動的に WARC 形式でも記録されます。
SingleFile(シングルファイル)
外部の画像・スタイル・スクリプトをすべて1つの HTML ファイルに埋め込んで保存する Chrome 拡張機能です。かんたんに言うと「ページを1枚のファイルに圧縮して保存する仕組み」です。インターネットに繋がなくても元のデザインのまま閲覧できるため、オフライン閲覧に適しています。
yt-dlp(ワイティーディーエルピー)
YouTube・SoundCloud・ニコニコ動画など多数のサービスから動画・音声・字幕をダウンロードできるオープンソースのツールです。かんたんに言うと「さまざまな動画サービス対応のダウンローダー」です。ArchiveBox と連携すると、動画ページの URL を指定するだけで自動的にダウンロードが行われます。
スナップショット(Snapshot)
ArchiveBox が1つの URL に対して生成するアーカイブの単位です。かんたんに言うと「ある瞬間のページの写し」です。保存した日時の名前がついたフォルダに HTML・PDF・スクリーンショットなどがまとめて格納されます。同じ URL を複数回保存すると、時系列でスナップショットが積み重なっていきます。
depth(デプス)
クロール(ウェブページを自動で巡回すること)の深さを指定するオプションです。かんたんに言うと「リンク先をどこまでたどるかの設定」です。--depth=0 は指定した URL だけを保存し、--depth=1 はそのページからリンクされている先まで1段階保存します。深くするほど保存量が増えるため、最初は浅めの設定から試すのがおすすめです。
BIND_ADDR(バインドアドレス)
Web UI(ブラウザで操作する管理画面)を公開するネットワークアドレスの設定項目です。かんたんに言うと「どの場所からアクセスできるようにするかの設定」です。デフォルトでは自分のパソコンからのみアクセス可能で、設定を変更することで LAN 内の他の端末からも利用できるようになります。web. と admin. の2つのサブドメインが自動的に割り当てられます。
RSS フィード
ウェブサイトの新着情報をまとめて配信する仕組みで、XML(データ記述言語)形式のファイルです。かんたんに言うと「サイトの更新通知をまとめたリスト」です。ArchiveBox の schedule コマンドと組み合わせると、指定した RSS フィードの新着記事を毎日・毎時間などの間隔で自動保存できます。
セルフホスト(Self-hosted)
サービスを自分のサーバーやパソコン上で動かすことを指します。かんたんに言うと「自分の手元で運営する」という意味です。データがクラウド企業のサーバーに送られないため、プライバシーやセキュリティの面で安心して使えます。ArchiveBox はすべてのデータをローカルに保存するため、完全なオフライン環境でも動作します。
Docker Compose(ドッカー・コンポーズ)
複数の Docker コンテナ(アプリをまとめた箱)をまとめて起動・管理するツールです。かんたんに言うと「複数の部品を一括で動かすまとめ役」です。1つの設定ファイル(docker-compose.yml)にすべての設定を書いておけば、コマンド1行で環境全体を立ち上げられます。ArchiveBox の公式もこの方法を推奨しています。
ウェブ上の大切なコンテンツは、予告なく消えてしまうことがあります。ArchiveBox を使えば、手間をかけずに「あの瞬間のページ」を手元に残し続けられます。ぜひ日常のブックマーク整理や研究資料の証拠保全、お気に入り動画・記事の長期保存などに活用してみてはいかがでしょうか。