AIエージェントの思考をリアルタイムで見る観測ダッシュボード「ClawMetry」

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AIエージェントの思考をリアルタイムで見る観測ダッシュボード「ClawMetry」

ひとことでいうと

ClawMetry(クロウメトリ)は、OpenClaw という AI エージェントの状態を、ブラウザ上でリアルタイムに確認できる監視ダッシュボードです。インストールは pip install clawmetry の一行だけで完結し、設定ファイルを書かなくても自動で動き始めます。エージェントがどんな思考をしているか・どれだけトークン(AIへの問いかけの単位)を使ったか・スケジュールされたジョブは動いているかを、一つの画面でまとめて把握できます。MIT ライセンスで無料公開されており、Docker(コンテナ技術)や NVIDIA エンタープライズ版との連携も最初から備わっています。

こんな人におすすめ

  1. OpenClaw エージェントを実際の業務で動かしているエンジニア — トークンの使用量やコスト・エラーの発生率を一画面で確認でき、予算オーバーや障害を早めに気づけます。Slack や PagerDuty(障害通知ツール)への自動通知設定も備わっています。

  2. 複数チャネルで動く AI ボットを開発・デバッグしている開発者 — Telegram・Discord・Slack・WhatsApp など 18 種類のチャネルに対応したフロー図で、メッセージの流れをリアルタイムに追うことができます。各チャネルをクリックするだけでライブチャット画面が開くので、問題の特定がとても早くなります。

  3. AI エージェントを安全に運用したいチームリーダーや SRE(信頼性エンジニア)rm -rf(ファイル全消去)や git push --force(強制上書き)・データベース削除・sudo(管理者権限)といった危険な操作を、手動の承認ゲートで制御できます。操作ログも自動で記録されるため、コンプライアンス対応にも役立ちます。

インストール・使い方

ターミナル(文字で命令を送る画面)を開いて、順番に実行していきます。コピー&ペーストで進めて大丈夫です。

Step 1: ClawMetry をインストールする

pip install clawmetry

pip(パイ・ピー)は Python のパッケージ管理ツールです。このコマンドで ClawMetry と必要なライブラリが一括でインストールされます。

Step 2: ダッシュボードを起動する

clawmetry

起動後、ブラウザで http://localhost:8900 を開くとダッシュボードが表示されます。ポート番号(接続先の番号)やワークスペースのパス(フォルダの場所)は、以下のように引数で変更できます。

clawmetry --port 9000 --workspace ~/mybot --name "Alice"

Step 3: Docker を使う場合

Docker(ドッカー)とは、アプリをまとめて箱に入れて動かす技術です。環境を汚さずに試したいときに便利です。

docker build -t clawmetry .
docker run -p 8900:8900 \
  -v ~/.openclaw:/root/.openclaw \
  -v /tmp/moltbot:/tmp/moltbot \
  clawmetry

-v オプションは、手元のフォルダをコンテナの中に「橋渡し」する設定です。OpenClaw の設定フォルダをここで指定します。

Step 4: ソースコードから直接起動する場合

git clone https://github.com/vivekchand/clawmetry.git
cd clawmetry && pip install flask && python3 dashboard.py

Flask(フラスク)という軽量な Web フレームワークだけあれば動きます。リポジトリ(ソースコードの置き場)をダウンロードして、すぐに試せます。

テレメトリ(使用状況の送信)をオフにしたい場合

初回起動時に、匿名の ID・バージョン・OS 情報が一度だけ送信されます。無効化したい場合は以下の一行を実行してから起動してください。

export CLAWMETRY_NO_TELEMETRY=1
clawmetry

動かしてみた

Python 3.12.13 の環境で pip install clawmetry を実行したところ、必要な依存パッケージが問題なくインストールされました。

リポジトリの中身を確認すると、Flask アプリ本体の dashboard.py と、routes/(ルーツ)ディレクトリ配下に 25 本以上のルートファイルが揃っていることがわかりました。

./dashboard.py
./routes/advisor.py
./routes/agents.py
./routes/brain.py
./routes/usage.py
./routes/crons.py
./routes/alerts.py
./routes/selfevolve.py
./routes/autonomy.py
...(25 ファイル以上)

フロー可視化・セッション管理・アラート・自律運転(autonomy)・自己進化(selfevolve)・推論(reasoning)まで、多岐にわたる機能がエンドポイントとして整備されていることが確認できます。また install.cmd が同梱されており、Windows 環境向けのセットアップも考慮されていました。

ブラウザで試すには

ClawMetry は Flask 製のダッシュボードとして動作します。OpenClaw エージェントの実行環境(~/.openclaw/ 配下のセッションファイルやログ)が接続されて、はじめて本来の機能を発揮します。ブラウザだけで単独動作するデモとして切り出すことは構造上難しいため、手元の環境で pip install clawmetry && clawmetry を実行して確認するのが最も確実な方法です。

新しい v2 フロントエンド(React 製)を開発・確認したい場合は、ターミナルを 2 つ開いて次のように動かします。

# ターミナル1: Flask API サーバー(ポート 8900)
CLAWMETRY_V2=1 python3 dashboard.py

# ターミナル2: Vite 開発サーバー(ポート 5173)
cd frontend && npm ci && npm run dev

Vite(ヴィート)が /api へのリクエストを Flask へ自動でつなぐため、CORS(クロスオリジン制限)の設定なしに React アプリとローカルの Flask が通信できます。

はじめの一歩 — 実践のコツ

  • OpenClaw がなくてもダッシュボードは起動できます。 まず pip install flask && python3 dashboard.py でソースから直接立ち上げ、画面の構成を確認するのがおすすめです。
  • 最速の確認方法はソースクローン → 直接起動。 pip install clawmetry でのインストール後に動作確認したい場合は、~/.openclaw/ フォルダが存在するかどうかを先にチェックしてください。
  • ワークスペースをマウントすると Overview タブが動き始めます。 OpenClaw のワークスペース(~/.openclaw/)が読み込まれると、接続中のエージェント・使用モデル・最終アクティビティが自動で一覧表示されます。
  • テレメトリが気になるなら先に無効化。 export CLAWMETRY_NO_TELEMETRY=1 を設定してから起動すれば、送信は一切行われません。
  • Docker で試すと環境が汚れません。 ローカル環境を変えたくない場合は Docker を選ぶと安心です。-v でフォルダを橋渡しするだけで同様に動きます。

用語とポイント解説

OpenClaw(オープンクロウ) ClawMetry が監視対象とする AI エージェントのフレームワーク(枠組み)です。かんたんに言うと、AI に仕事を自律的にさせるための仕組みで、ClawMetry はその「目」の役割を担います。設定ファイル openclaw.json を自動で読み込むため、利用者が特別な接続設定をする必要はありません。

トークン(Token) AI が文章を処理する際の最小単位のことです。かんたんに言うと、AI への「問いかけの量」をはかるものさしで、使えば使うほどコストがかかります。ClawMetry の Usage タブでは日次・週次・月次の消費量をグラフで確認できます。

ゼロコンフィグ(Zero-Config) 設定ファイルを書かなくても動く設計のことです。かんたんに言うと「インストールしたらすぐ使える」状態のことで、ClawMetry は openclaw.json を自動検出してくれるため、初期設定の手間がありません。

テレメトリ(Telemetry) ソフトウェアが自動で使用状況を収集・送信する仕組みのことです。かんたんに言うと「どんな環境で使われているか」を開発者が把握するための遠隔測定です。ClawMetry では IP アドレスを国コードに変換した後に破棄しており、個人情報やワークスペースの内容は送信されません。

Flask(フラスク) Python で作られた軽量な Web アプリケーションフレームワークです。かんたんに言うと、ブラウザから情報を受け取って画面に返すための「橋」の役割をします。ClawMetry のダッシュボードはこの Flask をベースに動いています。

Docker(ドッカー) アプリとその動作環境をまとめて「コンテナ」という箱に入れて動かす技術です。かんたんに言うと、どのパソコンでも同じ状態で動かせる「使い捨て環境」を作れる道具です。ローカル環境を汚さずに ClawMetry を試したいときに便利です。

オブザーバビリティ(Observability) システムの内部状態を外から観察・把握できる度合いのことです。かんたんに言うと「何が起きているかをどれだけ見えるようにできるか」という考え方です。ClawMetry はまさにこの「見える化」を実現するためのツールです。

Vite(ヴィート) JavaScript のフロントエンド開発ツールで、ファイルの変更を即座にブラウザに反映させる高速な開発サーバーです。かんたんに言うと、React などで作った画面をすばやく確認しながら開発できる道具です。ClawMetry の v2 フロントエンドの開発時に使います。

NemoClaw(ニーモクロウ) NVIDIA が提供するエンタープライズ向けの OpenClaw 実装です。かんたんに言うと、企業の大規模環境向けに最適化された OpenClaw の強化版です。ClawMetry はホスト側でデーモン(バックグラウンドプロセス)を起動するだけでコンテナ内のセッションを自動同期でき、runtime=nemoclaw タグで通常セッションと区別して管理できます。

Approvals(アプルーバルズ) 危険な操作を実行する前に、人間が手動で許可するゲートを設ける機能です。かんたんに言うと「AI が勝手に重要な操作をしないよう、必ず人間が確認する仕組み」です。rm -rfgit push --force などのコマンドをポリシーで捕捉し、管理者がワンクリックで承認・却下できます。

活用アイデア

  • コスト管理の自動化: Usage タブのトークン消費グラフと Alerts 機能を組み合わせ、日次の予算上限を超えたら Slack へ即通知するルールを作ることで、想定外のコスト増を防げます。
  • マルチエージェントの横断比較: Fleet History タブで複数のエージェントの稼働履歴を並べて確認し、特定の時間帯にスループット(処理量)が下がったり、特定チャネルでエラーが集中している箇所を素早く発見できます。
  • セキュリティ・コンプライアンス対応: Approvals 機能を使い、危険なコマンドを事前ポリシーで捕捉して管理者承認フローを組み込むことで、操作ログを自動生成できます。社内の内部統制や監査対応にも活用できます。
  • NemoClaw を使ったエンタープライズ環境の一元管理: NVIDIA の NemoClaw 環境でも、ホスト側でデーモンを起動するだけでセッションが自動同期されます。クラウドダッシュボード上で通常セッションと区別しながら管理できます。
  • 開発中のボットのリアルタイムデバッグ: Brain タブでエージェントのイベントストリームをライブ確認しながら開発することで、どのツールがどのタイミングで呼ばれているかを即座に把握でき、デバッグの時間を大幅に短縮できます。
  • スケジュールジョブの監視: Crons タブを使えば、定期実行タスクのステータス・次回実行時刻・実行時間をまとめて確認できます。夜間バッチ処理などの自動タスクを安心して任せられます。

まとめ

ClawMetry は「エージェントの思考を見える化する」をコンセプトに設計された、OpenClaw 向けの可観測性ダッシュボードです。設定不要で起動でき、Flow・Brain・Alerts・Approvals など多機能なタブを通じて、開発時のデバッグから本番運用のセキュリティ管理まで幅広く対応します。Docker サポートや NemoClaw 連携・v2 React フロントエンドも整備されており、個人の開発環境から企業の本番運用までスケールする設計になっています。ぜひ AI エージェントのコスト管理やセキュリティ承認フローの整備、マルチチャネルボットのリアルタイムデバッグなどに活用してみてはいかがでしょうか。